ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

2006-01-01から1年間の記事一覧

こころが揺れて

先日、初宮まいりで昇殿、祈祷を受けられたAさん夫妻からはがきが届いた。その節、向拝所をバックに写した記念写真を送ってあげた礼状である。 その日は朝から七五三と初宮の祈祷が交互に続き、ちょうどAさんで予約受付分が途切れて体が空いたので、デジカ…

秋は駆け足

午後4時前、もう境内に日差しはない。にわかに冷え込んできた。そろそろ拝殿を閉めてこようか。朝から数人の氏子総代が出て菊花展を撤収、宮司名の感謝状・粗品(撤下品)を携えてそれぞれ出品者宅を回り、作品を返し礼を述べて第5回菊花展は無事閉幕した。 …

しち・ご・さん

町内の菊花愛好家から出品された献花展、ことしも境内で開催中である。 色とりどりの大輪の菊をバックに記念撮影する着飾った親子連れ。神社がちょっと華やぐ七五三参り。朝から大賑わい。明日の日曜日も、朝一番から予約がいっぱいである。 ありがたい話だ…

神社はゴミ捨て場じゃない!

社務所から50メートル離れた一隅に、古いお札・お守の納め所があって、宮司のデスクから窓越しによく見える。 納め所にはほとんど毎日、入れかわり立ちかわりお札やしめ飾りを納めに来る人の姿がある。絵馬や破魔矢など小物から神棚、結納品、ひな人形にぬい…

カブトムシはどこへ消えた

境内林は虫取りの子らで賑わっている。歓声を上げているのは、つき添っている親たちの方みたい。 虫かごをのぞいてみれば、子供らが期待するクワガタやカブトムシの姿はない。セミやトンボ、たまに小さなチョウや羽虫。 「せっかくお宮の森を訪ねてもらった…

欲張って損……

やはり日曜日だ。昼前に初宮詣(はつみやもうで)の親子連れ3人。ついでに新車のお祓いもしてほしいとの申し出。 当社の祈祷料は、宮参りでも車のお祓いでも安産、厄除け祈願など何でも5千円以上。でも5千円以上お供えの人は皆無。実際は5千円均一みたい…

ヘンな一日(つづき)

(前回の続き)電話の女性は、長女と高校のクラスメイトKさんと名乗った。家へ遊びに来ていて、夜帰り際電車の駅まで車で送ってやった記憶があるが、随分以前のことで私は彼女の顔までは憶えていない。 「お父さんが神主さんだって聞いたこと思い出して電話…

ヘンな一日

社務所の事務も走り始めた10時過ぎ、電話。受話器からの声は中年女性と推定。 「つかぬことお尋ねしますが、神社に内職ありませんか」 「あいにく……」 「座っていてできるような手仕事はないものでしょうかね」 「さあ―。申しわけありませんな」何だかこっち…

見られてる

町内では銀行へ行っても、スーパーへ出かけてもよく誰かにあいさつをされる。ほとんどの場合、その人がどこで出会ったどなたなのか思い出せない。向こうは私を覚えている。 日曜午後、家内にお供して衣料品スーパーに出かけたら「こんにちわ」すれ違った30…

事故は神社の責任?

住宅建設業のA社から地鎮祭を頼みたいとの電話。 二三年ぶりだろうか。A社は、田畑を持て余している高齢者農家をターゲットに、共同住宅の経営を勧めて、社業大いに潤ったのかひところ大変な鼻息であった。当町とその周辺地域でも次々と農地が埋め立てられ…

紫ハカマのご利益は二倍?

さる日、雑談していた氏子総代から聞かれた。 「むらさきハカマ(紫袴)のネギ(禰宜)さんに祈祷してもらうと、あさぎハカマ(浅黄。水色に見える)の神主の祈祷よりも倍のご利益を授かるだろうか。宮司、あんたならどう答えるか」 神職の袴は、おおむねそ…

春なのに  その2

散りそびれた花あわれ。葉桜が風に揺れている。季節の移ろいを横目に、決算事務が忙しい。 一般法人用の会計ソフトを神社用にちょっと応用しながらで、面倒な作業が続く。それでも昔の手書き、電卓に比べると楽である。 決算の仕事を進めながら、頭の片隅で…

春なのに

朝、通用門をくぐると車のフロントいっぱいに満開のソメイヨシノが飛び込んでくる。生い茂る木々の緑をバックに、ほんのりピンクが明るくさわやか。浮き立つ乙女のようだ……何て表現してみたくなる。古い奴だとお笑いくださるな。 さっき境内林にはいったらウ…

梅、満開

臨時舞女2人の助務を得て神前結婚式のお勤めをした。 無事、滞りなく斎行し、喜びの新郎新婦、そのご親族をお見送りした。外は浮き立つぽかぽか陽気。 式場(拝殿)の後片づけをほっぽりだし、デジカメを引っつかむや境外の梅園にすっ飛んだ。三脚を構えた…

総領の甚六

幾つになっても世渡り下手である。小さいころから「総領の甚六」と言われながら育った。断わり下手である。仕事や役職を押しつけられて断われない。だから、幾つもの仕事を抱えて年中うろうろ。セールス、それも女性のトークにこれまた弱く、何だかんだの末…

和服姿の初詣はごくわずか?

晴れやかな着物の初詣客はほんの二三人。当社で毎年見かける姿は減っている。老若男女問わず普段着姿がほとんどである。ハレの日にはまず装いを改めて――そんな日本人の心意気を望むのは、今は空しい時代なのかも知れない。 授与所は三が日臨時の巫女さんに応…

賽銭箱に万札

大みそかの宵から元旦夕方まで、私どもの地方では少し冷え込んだものの風がほとんどなく穏やかな年越し参り、初詣日和であった。 私どもの小さな神社でも大賑わい。午前零時前から1時過ぎまでの間、参道から向拝所にかけて参拝者でぎっしり埋まり、お参りに…