ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

神社はゴミ捨て場じゃない!

社務所から50メートル離れた一隅に、古いお札・お守の納め所があって、宮司のデスクから窓越しによく見える。
納め所にはほとんど毎日、入れかわり立ちかわりお札やしめ飾りを納めに来る人の姿がある。絵馬や破魔矢など小物から神棚、結納品、ひな人形にぬいぐるみ、各地社寺のパンフレット、お経の解説本、土鈴に陶器のえと置物、短冊のぶら下がった七夕笹飾りなど多種多彩。
納められたものは、日を選んで宮司がお祓いした後氏子総代が分別してきれいな火でお焚き上げする。持ち込まれた量が少ないときは、宮司がお祓いから焚き上げまでひとりですべて処理する。
あらかじめ社務所に電話で問い合わせてきたり、窓口で処置を相談したのち納める人は、大抵みんなお志をお供えし、神前にお礼参りをして帰って行かれる。それが普通の行いだと思う。その人は、心も休まることでしょう。
ところが現実は9割以上の人が、まるでごみを捨てるかのように、ビニールのごみ袋に入れたまま投げ入れて行く。「ごみ袋は持ち帰って」と表示してあるが守ってくれる人はまずいない。「お神札を納めたら、神前にお礼参りをしましょう」の掲示も気にならないようだ。
「神社をごみ投棄場だと思っていやがる」と怒りをあらわにする総代もいる。飼うのに飽きたペットをそこらの川べりへ捨てるのと同じや、と別の総代。旅先で感激してお受けしてきた有名社寺の御守を、やがて「飽きちゃった」と捨てて行くに変わりないや、ねえ宮司さん。総代のぼやきも一理あろう。
「子供よりあわれ……」そんなに思える大人(ひと)が多い。