ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

総領の甚六

幾つになっても世渡り下手である。小さいころから「総領の甚六」と言われながら育った。断わり下手である。仕事や役職を押しつけられて断われない。だから、幾つもの仕事を抱えて年中うろうろ。セールス、それも女性のトークにこれまた弱く、何だかんだの末結局は不要なものを押し売りされ後悔するばかり。
先夜も、自宅で留守番中にアフリカ系の男を連れた若い日本女性の訪問を受け「子供たちの救済に温かい手を」とか何とか訴えられ、数分後には3千円の「協力」を渋々納得、コーヒーの小箱三つ受け取ってしまった。初め見せられたのは10箱セット。これなら3千円出してもまあ家内に言いわけできよう、と腹を決めたが、金をひったくるやネエちゃん「ご協力1万円なら10箱、お父さんは3千円だから3箱ね。ありがと」さっと身をひるがえして立ち去った。
(図られた!。敵はつわものだった)悔やんでも、またまた後の祭り。
後刻「あやしいコーヒー、どうしたの」たちまち家内に見つかり「相変わらずお人好しね」さんざんばかにされてしまった。バカは死ななきゃ直らない……。