考えあぐね、思い悩んだ末、やっと腹を決めて、きっぱり別れたはずである。
それなのに・・・。
暑いにつけ、寒いにつけ━━雨の降る日は、とても恨めしく、ため息をつく。
そして、「未練な・・・」と自分を叱るのである。
自家用車を手放し、運転免許証を自主返納してから1年余。
まことに不便である。
照ろうが降ろうが、暑い日、寒い日お構いなし、何十年間、ちょいとそこまで、気安
く車を使う生活に慣れ切ってきた身には、車なしの日々の暮らしは、ことのほか不便を
感じるのであろう。
今さら嘆いても仕方がなかろう━━自分の女々しい未練心をいさめる。
たまたま近所の知人から借りた精神科医、和田秀樹先生の「80歳の壁」(幻冬舎新
書)を読んでいたら「自動車の運転免許は返納しなくていい」とか「高齢ドライバーは
むしろ安全」なんて、嬉しくなるような見出しが目にとまった。
「運転免許証を返納すると、6年後の要介護リスクは2・2倍になると━━。
運転する自信がなくなったのなら、車を運転しなければいいだけの話で、運転免許を
返納する必要はない。
なぜ、できることを自ら放棄してしまうのか。持っている能力はキープし続ける。
できることは放棄しない━━。」
そのようなお話が書かれています。
私も、自主返納を早まったかな、と悔やむ一方、いや思い切って車を降りてよかった
のだと肯き、改めて自分を納得させるのである。