ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

2004-01-01から1年間の記事一覧

境内が静寂に包まれることがあります。それは一日一回のときもあるし、何日目かに訪れることもあります。ほんの一瞬です。風の音も、木々のざわめきも、小鳥の声さえも突然途絶えたかのように静まり返る。毎日森の中の社務所にいると、そんな自然の不思議な…

山のかなたに…

アフターファイブ、映画を見た後はネオン通りをそぞろ歩くのが楽しみでした。淡い恋でも生まれそうな春の宵、ちょっと何か起こってもよさそうな、そんな期待に胸ときめかせながら…。 でも、やっぱりいつも何も起きませんでした。夜の早い田舎町、しょんぼり…

七五三、あれこれ

少し賑わい、ちょっと華やいだ七五三が終わると、氏神さまの境内はにわかに秋が深まった感じです。 一昔前に比べると、七五三もそれなりに様変わりしているように感じました。以前なら七五三当日の11月15日は、朝の8時を過ぎるころから身なりを整えた親子連…

しゃべる自由・書く自由

ことしも10月15日から新聞週間が始まります。ひところのような華々しいイベントやキャンペーンは見られなくなりましたが、新聞週間がめぐってくるたびに改めて言論の自由を考えます。 神社の宮司になって、人前で話す機会がふえたのでしゃべる責任や、また、…

夜明けのムカデ騒動

妻の悲鳴で飛び起きました。「痛っ、痛いッ。ムカデに噛まれた」と布団の上で足を押さえ、顔をゆがめています。眠りまなこで周りをまさぐり、何でもいい、棒状の物をつかむやムカデに一撃。昏倒したのを見定めて、毒を吸い出そうと試みましたが、傷口は足の…

野口みずき選手のお礼参り

アテネ五輪女子マラソンで金メダルに輝いた野口みずき選手が古里の三重県伊勢市内で凱旋パレード、市民の大歓声を浴びました。 その折、神宮へお礼参りもされました。レースで最も苦しい時、パンツに縫いつけていた神宮のお守りをしっかり握り締めて頑張った…

死って、何でしょう。

この夏、母を、続いて親友を失いました。親友は高校のクラスメイトで、死因はすい臓ガン。亡きがらと対面し「お迎えが早過ぎるよな」冷たいけど、まだ柔らかい手を握るとどっと涙がこみ上げました。 お通夜、告別式に参列し、改めて「死」を意識しました。こ…

病院で見つけたオアシス

心臓を患い、昨年から最寄りの赤十字病院にかかっています。「待つ」ことに耐えるのが病院通い。検査、診察でそれぞれの担当科を回って、やっと計算(会計)窓口にたどり着くころにはもううんざり。 ところが、先ごろちょっとしたオアシスを見つけました。 …

ワンちゃんの由来

「ワンちゃん」は、平凡なニックネームです。 新聞記者駆け出しのころ先輩がつけてくれました。 本名に一の字がつくからワンちゃん。その時代、親しい記者仲間はたいていあだ名で呼び合っていました。<写真は遊軍記者のころ> 記憶に残るのは、今なお裁判の…

招かざる訪問者<その二>

神社には、時たまこんな人もやってきます。 「主人とけんかして家出してきたが、思い直して帰ります。ついては電車賃がないので少し貸してくれませんか」と、小太りの中年女。 「警察へは行きたくない事情があるのですよ」と、社務所の玄関先にどっかり腰を…

招かざる訪問者<その一>

私ども小さな田舎の氏神さまでも、それなりに毎日訪問客があります。 善男善女ばかりではありません。まことに迷惑千万な来客?もあります。まずは賽銭ドロ。顔ぶれは大体決まっていて、毎日あるいは一週間おきに賽銭箱と対面しにやってきます。本殿の賽銭箱…

神さまの正体を見たか。

Nさんがお神札授与所からのぞき込んで言った。「ネギ(禰宜)さん、神さんの正体見たか」。私がいつものように「いえ、未だに」と答えると「まだまだ修業が足らんな。わしゃ、きょうもお会いしたぞ」満足そうにニヤリ。Nおじいちゃん、時折私を試して悦に…

憑き物のお祓い(除霊)

キツネなどけものの霊にとりつかれた、いやはや果てはご先祖の霊のたたり?なんて深刻な顔で神社を訪れる人があります。 悩みごとをお聞きすると「悪霊にとりつかれているから、○○神社でお祓いしてもらいなさい」という占い師の<お告げ>で、近くはもとより…

お賽銭、せめて百円玉奮発して・・・

氏神さまと呼ばれる、小さな神社にも賽銭箱がちゃんと置かれています。 賽銭箱に投入されたお賽銭は、適時回収して、銀行へ預け入れます。 ところが、賽銭に多い1円玉、10円玉といった小銭を預け入れる時、今年2月ごろからその都度銀行に手数料を取られるこ…