ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

カブトムシはどこへ消えた

境内林は虫取りの子らで賑わっている。歓声を上げているのは、つき添っている親たちの方みたい。
虫かごをのぞいてみれば、子供らが期待するクワガタやカブトムシの姿はない。セミやトンボ、たまに小さなチョウや羽虫。
「せっかくお宮の森を訪ねてもらったのに、残念だったね」と慰める。
十数年前までは、朽木や落ち葉の下をひっくり返すとクワガタやカブトの幼虫が見られたのに。鎮守の森を大事に守ってきているはずだが、昆虫たちはどこへ消えてしまったのだろう。
小学校の夏休みといえば、麦わら帽子、腰に虫かごをぶら下げ、右手にたも網、田んぼのあぜ道から木立の丘へどんどん繰り出すのが楽しい日課であった。
お盆など生まれ在所へ帰って見渡しても、あの小川も木立の丘も「ふるさとの風景」から消えてしまった。