ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

2007-01-01から1年間の記事一覧

神主さんはみんなタフ

神社庁支部の忘年会。いつもの顔ぶれ。 敬遠されたか、ことしも若い神職の姿なく、年寄りばかり十五、六人。 酒は強いし、大声でよくしゃべる。コンパニオン相手に、会場はたちまち盛り上がる。 それなりに楽しい雰囲気である。 それなりというのは、酒の勢…

とりとめのない話

明日の月次祭(つきなみさい)の準備を済ませてから、向拝所付近の落ち葉をかき集め、炉(といっても地面に穴を掘ってブロックで囲んだだけのもの)で燃やした。 雨上がりで、湿った落ち葉はなかなか燃え上がらない。 「落ち葉を焚いた煙にむせ、涙誘われ泣…

やすきにつく

氏子のAさんが車を買い換えたので、昇殿され交通安全を祈願された。 先ごろ追突され、車は後部を大破したが、幸いけがは免れたとの話。 「新車にかえるたび交通安全祈願のお参りをし、車のお祓いをしてもらっているお蔭です。小難で済ませてもらった。」と…

やっぱり動くべし

まさに小春日和。穏やかで、暖かい一日であった。 朝から七五三の祈祷が数件。3歳児と5歳児ばかり。ロビーや拝殿は人数以上のにぎやかさ。廊下でのかけっこには参った。 この日、境外地の近隣公園で地元商工会青年部主催のイベントがあって、会場への通り道…

はぐれ七五三

秋はいつも駆け足だが、ことしは気配を感じる間もなく過ぎ去って行った。 秋の大祭も終わり、週末のきょう明日は「はぐれ七五三」の予約が数件。よんどころない事情があったのだろうと思うけれども、やっぱり15日までにお参りいただけたらと残念である。何事…

いつかどこかで

紀伊勝浦へ妻と一泊旅行。熊野那智大社や新宮の熊野速玉大社をお参りした。 遊覧船で紀の松島めぐりや太地のくじら浜公園を楽しみながら、これは前にも来たことがある風景だ、いつだれと旅行した時だったろう、そんな思いに陥った。 那智の大滝や熊野速玉大…

郷に入っては郷に従え…

地鎮祭に奉仕した。 朝血圧を確かめたら100を少し超えていたので「大丈夫だろう」と心を決めて出かけた。4年前、心臓を患ってからは真夏真冬、氏子地域外からの出張祭典はほとんど近隣神社にお願いしている。 今回の地鎮祭施主は顔見知りの氏子、神社からの…

健康が一番

事務室の窓越しに見える植え込みに、赤と白の彼岸花が満開。 サルスベリとムクゲの陰に、たった数株。それでも参拝者の足がとまる。 季節は正直である。 先ごろから体調がしゃきっとしない。4年前から心臓を診てもらっていた病院の主治医の転勤に伴い、最寄…

倒れそうな鳥居

参道に鳥居が20本ほどたっている。 ほとんどコンクリート造りだが、白木づくりも数本ある。そのうち2本が虫に食われ、湿気で腐食も進んで根元ぐらぐら、心細い状態に陥っている。 総代(氏子の代表)らは「危険だ。早いとこ撤去してしまえ」と騒ぐ。とり…

6月の花嫁さん、お幸せに

天気予報どおり朝から晴れ上がって、水銀柱も急上昇。 あいにくガスエアコン故障中の、蒸し暑い拝殿で11時から神前結婚式。 新郎新婦と両家ご両親の6人が昇殿、宮司の私一人奉仕で式典をとり行った。 お祓いから始まって三々九度、誓詞、指輪の交換、親子固…

いのり 祈り

社務所の窓越しにこま犬が見える。 向拝所で拝礼を終えた参拝者のうち、幾人かがこま犬の前に立ち寄る。 大方の人は、こま犬の足元に1円玉か5円玉まれに10円玉をお供えする。 次にこま犬の頭、口元、胸からしっぽをなで、次にその手で自分の体の気になる…

雨の午前中

夜来の雨に洗われて、アジサイの花がにわかに色つやを増した。境内の一隅、そこだけ浮き出て、えも言われぬ風情。 雨の午前中は何となく気分が落ちつく。庭木のサツキも静かである。きょうあたり、この地方も梅雨入りだろう。 思い出したように電話が鳴った…

埋め草の軽い気持ちが……「八方除け」

神具製造会社のセールスと雑談中「テレビ番組か雑誌の影響でしょうか、近ごろ若い女性の間で「八方除け」のかわいいお守袋に人気があるんですよ」と彼が何気なくしゃべった。 「そんなこともあるでしょうね。今の世の中、何か流行るかわからんから」と私も何…

戦没者慰霊祭

地元A町遺族会主催の慰霊祭が当神社参集殿で行われた。 毎年6月第2日曜日、市長初め議員らを来賓として招き、遺族会員の7割近い150余人が参列して厳粛に斎行されている。 毎年のことだが、慰霊祭前日朝から当神社の氏子総代が五六人奉仕して境内林からサカ…

氏子をやめます

昼下がり。ご老体が社務所にやってきた。 「宮司さん。私んとこ、今年度から氏子をのかせてもらいます」 いかにも申しわけなさそうな顔をして、耳に手をかざした。 耳が少し遠いらしく、私の返事を聞き逃すまいといった表情。 「それは残念ですね……」と私。 …

拉致解決に協力してくれや

またぞろ、である。 電話を取るや、いきなり[宮司さん?」と気安く声をかけられた。 氏子さん?その声聞き覚えありの気がして、思わず「はぁ」と返事して、「しまった!」。 途端に相手は例のドスをきかせた声。講釈のマニュアルを読み上げた末「4万何がしか…