ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

紫ハカマのご利益は二倍?

さる日、雑談していた氏子総代から聞かれた。
「むらさきハカマ(紫袴)のネギ(禰宜)さんに祈祷してもらうと、あさぎハカマ(浅黄。水色に見える)の神主の祈祷よりも倍のご利益を授かるだろうか。宮司、あんたならどう答えるか」
神職の袴は、おおむねその地位によって上位から白紋入りの白袴、次に白紋入りの紫袴、紫紋入りの紫袴、紫袴と続き、その下に浅黄色の袴、白袴がくる。
「さあ、どうだか……」
私はその場を濁して逃れた。
30年近く総代をやっているこのじいさん、何かと口だけはうるさい。「どんなえらい宮司が就任したって、わしら総代が動かなかったら神社の運営はできっこない」と、まずは着任早々脅しおった。(そんなこと、言われなくたってわかっていらあな)とこちらも腹の中。
神職を何人も飼っている神社のやりくりは大変だろうに」ともほざく。(おれはお前さんに飼われているのか)。
さらに「宮司が紫袴になると神社庁への負担金が高くなるだけで、氏神さんにとっては何のメリットもない。われわれ小さな神社では浅黄袴のネギさんで十分だ」とものたもうた。
やれやれ、である。