ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

こころが揺れて

先日、初宮まいりで昇殿、祈祷を受けられたAさん夫妻からはがきが届いた。その節、向拝所をバックに写した記念写真を送ってあげた礼状である。
その日は朝から七五三と初宮の祈祷が交互に続き、ちょうどAさんで予約受付分が途切れて体が空いたので、デジカメを持ち出しシャッターを切ってあげたのであった。
「この子が七五三の年になったら、また祈祷を受けに参ります」と結ばれていた。喜んでもらえて何よりである。
境内で記念撮影する人たちに、暇があればシャッター押しサービスをするよう心がけているが、Aさんに対する場合は、なぜかもっと積極的な気持ちが働いたのであった。Aさんはカメラを持ち合わせていなかったが、そんなことよりこの親子の参拝写真をとってあげたい、と一瞬かき立てられたのである。
長男を両腕にしっかり抱いたAさんと奥さんの笑顔を見た時、私は何十年か前に長女を抱いて電車・バスを乗り継ぎ宮参りした自分たちの姿を思い出してAさん夫妻に重ね、心が揺れたのであろう。
若かったなあ、俺たちもあのころ……。やっともらえた新聞社の休み。家内は和服を着て行ったっけ。社の近くの借家から生まれ在所の神社まで2時間。腕の中の泣き虫長女はその日めずらしく宮参りの間ぐずらなかったと記憶。その娘も今は管理栄養士、今月から日刊紙に月1回企画記事を載せさせてもらっている。