ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「終活年賀状」は、書かない‥‥

「終活年賀状」の文例が、ネット上で見られるようである。 二三年前から、私の手元にも何通かの終活年賀状が届くようになった。それに、ことしも既に十二三通の喪中はがきも来ている。 それやこれやも加えて宛名名簿を整理してみたら、私も妻もそれぞれ100枚…

あとひと口、もうひと口

所用で隣市へ40分ほど車を走らせたが、相手の急な都合で2時間近く待たなければならなくなった。 午後1時を過ぎていたので、どこかで腹ごしらえをすることに。 久しぶりに、みそラーメンと餃子でも食するか――と、カーナビで最寄りの中華料理店を検索するが、…

生かされてます‥‥

月半ばから、何かとせからしい――老体には、気疲れを覚える日が続いた。 総合病院で私の抜歯。次いで妻が健康診査で血圧が高すぎる、心臓病が懸念される、と内科からの紹介でハートセンターへ急ぎ回され、心臓エコーやCT検査など丸一日不安な時間を過ごした…

あの人は、今どこに・・・

「お父さん、たまには3人でお昼 外で食べない?」娘が電話して来た。 「いいなあ。――母さんも一緒に行くだろう」と妻に同意を求める。 「じゃあ、迎えに行く」と娘。 娘は、M市の自宅マンションから車で40分余。私と妻を乗せる、ととんぼ返り。M市内のレス…

彼岸のお墓参り

明け方、尿意を我慢してうつらうつらしていたら、いやーな夢を見た。 雨上がりのぬかるみを、昔ながらの荷車が近づいてくる。 見ると、愛犬のチワワが体に荷綱をかけられ、泥まみれになりながら、懸命に荷車を引っ張っている。 「マロン、お前が、なぜ?」と…

まぼろし?の善行‥‥

JR西日本の駅員さんが勤務中、酒に酔って寝ていた女性を救護室に連れ込んで乱暴したとしてクビになったあげく警察に逮捕されたという新聞記事が目に触れた。 昔から「人の世に盗人と痴漢は尽きぬ」とか言われるが、いつの時代にも、良からぬ気を起こすやか…

故郷の廃家

「故郷は遠きにありて思うもの‥‥」(後略) これは室生犀星の「小景異情」という詩の冒頭部分で、内容は寂しい詩なんだそうである。 私のふる里は、市町村合併で今では私の住まいと同じ行政区域内――同じ市内である。 指呼の間と言ってもいいほどの距離で、車…

心の罪・業(ごう)・心の傷‥‥

広島は8月6日、長崎は8月9日、ともに原爆投下(被爆)から73年の「原爆の日」。 原子爆弾が永久に使われないことを、ひたすら祈るばかりである。 澄み切った夏空を眺めていると、私は藤山一郎さんが歌った「長崎の鐘」(古関裕而作曲。昭和24年発売)を思い…

ひんやり‼抱きまくら

前々から「欲しいなぁ」と思っていた抱き枕。 「はい、父さんプレゼント!」思いがけず娘が、それもニトリのNクールまくらを買ってきてくれた。 「これは、これは。おおきにありがとう‥‥」 何だか私の心の内を見透かされていたみたい。やっぱり親子、気脈が…

――お恥ずかしや・・・

妻に探し物を頼まれ、倉庫のあちこちを探し回っていたら、肝心の頼まれ物は見つからず、代わりに私の懐かしいものが出てきた。 大きな段ボール箱に詰め込んだ新聞のスクラップブックが数十冊と4冊の文芸雑誌。 スクラップブックは、私が新聞社に在職中書いた…

にわとりの いのち

夕食のおかずは、鶏肉と野菜の炒め物。 「やっぱりもも肉が一番旨いや」とつぶやいたら、食卓の足元で飼い犬のチワワも、私のズボンのすそを前足でがしがし引っかきながら「ボクも相伴させてよ」(?)と催促する。 妻が「マロン(愛犬の名前)もこのごろぜ…

虫が起こる・・・

二三カ月前から読書虫?が起こっている。 リタイアした今、読書と言っても肩の凝らない時代小説――チャンバラ小説である。 佐伯泰英、葉室麟、稲葉稔、鳥羽亮から昭和三四十年代の山手樹一郎まで、読み出したらやめられない止まらない「カッパえびせん」CM…

妻の粗相

老妻が、自宅階段の下から4段目あたりから落ちた。2度目である。 私が、2階の部屋で探し物をしていると「お父さん、何してるの?」と階下で妻の声。面倒くさいので黙っていると、そっと上がってくる気配。その途端、ドスンと音が響いて「痛いッ」と悲鳴。 …

私と酒

時代小説を読んだ後、夜7時のテレビニュースで花より団子のお花見風景を眺め、続いてBSで時代劇「御家人斬九郎」を見終わったら、酒を飲んでみたくなった。 冷蔵庫を開けるまでもなく、我が家に冷えたビールなどあるはずもない。 料理に使う2合ビンがあっ…

「お父さん、離婚考えたことある?」

いつものように、勤め帰りの長女が、車を運転しながら電話してきた。(ブルートゥースを使って社内ハンズフリー電話) 親子のたわいない話ばかりだが、時には今日みたいに突然ドキッとするような問いかけをされることがある。 「お父さん、お母さんとの離婚…

け・い・ち・つ(啓蟄)

3月6日は、啓蟄(けいちつ)――冬ごもりしていた虫たちが、土の中からはい出してくる。 大きらいなヘビ様も動き出す。 私のお仕えしていた愛称「旅の宮」(離宮さんとか大漁の宮とも)は、古くからヘビ山と呼ばれ、ある年には特に「まむし注意」の立て札を森…

インフルエンザにかかって、亡き母を思い出す

2月1日の早朝から下痢が始まった。咳も連発する。 風邪かな?と様子をうかがいながら過ごす。 三日目、トイレに駆け込む間が開いてきたので、町内のかかりつけ内科へ車を走らせる。 「普通の風邪みたいですね。整腸剤を5日分出しておきましょう。」やれやれ…

妹よ

隣町に住む末の妹が、久しぶりに電話してきた。 「お兄ちゃん、ちょっと教えて‥‥」 妹の話の内容は、しゅうとめが他界した後引き継いだ自宅の神祭。神棚に、毎朝新しい水、米、塩をお供えして「家内安全」をお祈りしているという。 感心させられた。 神棚の…

ひとのうわさ話。

「小人(しょうじん)閑居して不善をなす 」という成句があるが、私みたいな老人が暇を持て余していると、ふと、何でもない過ぎし日の出来事を思い出すものである。 はるかムカシ(昔)、I新聞に転職して記者駆け出しのころの話である。 仕事は、まず朝の「…

イメージする……彼の女性(ひと)は

母の妹が他界し、その葬儀に参列するため郷里へ帰った。 久しぶりに親戚や幼なじみの顔と出会い、あいさつを交わした。とっさに名前を思い出せず「森の孝夫(仮名)やがな‥」と言われ「あっ、ごめん。見間違ったわ」と笑ってごまかしたものの、ばつが悪かっ…