ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

しち・ご・さん

町内の菊花愛好家から出品された献花展、ことしも境内で開催中である。
色とりどりの大輪の菊をバックに記念撮影する着飾った親子連れ。神社がちょっと華やぐ七五三参り。朝から大賑わい。明日の日曜日も、朝一番から予約がいっぱいである。
ありがたい話だが、わが社はひとり神主だけに、祈祷受付のやりくりをうまくやらないと昼飯にもありつけない羽目に。
いつものことながら予約時刻に現れない組、早めに到着して待っていた組が退屈してぐずり出す。はては廊下で運動会が始まる……。
がまんの限界ぎりぎりの「小さなお客さん」たちを、拝殿で宮司に興味を持たせ集中させ、祈祷が終わって千歳あめなど「おみやげ」を渡すころにはニコニコの満足顔……そこまで誘導するには、こちらも辛抱強く工夫を凝らす。
「ていねいにしていただいて」とお礼を言われてほっとする。神主冥利?。
人に喜ばれることをすれば、自分の心も安らぐ。ことに心臓を悪くしてからは腹を立てないように心がけている。
権力にキバをむいて突っかかっていった記者時代の同僚が見たら「ワンちゃん、お前さん年取ってまん丸に変わっちまったなあ」と不思議な顔をされそうな気がする。