ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

2005-01-01から1年間の記事一覧

雑学

珍問、奇問、難問 神社にいると、いろんなことを尋ねられます。 けさも出社して間もなく、参拝を終えた顔見知りの老女が窓口に寄ってきました。 「宮司さんとお顔合わせたらお聞きしたいと思っていたんですが、屋敷の中にサカキの木を植えてもよろしいでしょ…

言いわけ

決算だ、監査だ、新年度だ…… 何てぼやいているうちに季節はすっかり移り変わり、境内は若みどりがいっぱい。ツツジも満開。 毎年この時期、明けても暮れても仕事の山崩し。連休など夢の夢。代表役員、宮司とは名ばかり、一人神職の神社の実情です。 あれ、ま…

花の命は……

フレッシュ、フレッシュ 昨日満開を愛でたサクラ、今朝はもう散り初めた。 午後から日差しも戻って、爽やかな微風に誘われるかのようにひとひら、ふたひら。参道は雪が積もったみたいに早や真っ白。ぼんやり眺めていると「花の命は短くて…」と、言い古された…

正直な彼女に幸せを

財布にお金はいってなかった… 先週の日曜だったか、ちょっとおしゃれな二十歳代中ごろと思しき女性がおふだ授与所に立った。 いろんなお守りの中から縁結びの袋を三つ手にとって「迷っちゃう。神主さん選んで」。 私は「この窓口でよく出るのはこの柄、この…

花咲き、花散る

週末が見ごろか 参道のサクラ、あすには満開だろうと期待してきのう帰ったのでしたが、今朝方の雨と強風でがっかり。昼ごろにはかなり散ってしまった。でも、あすになれば新しい蕾がたくさん花開くでしょう。 参道に接する境外公園のサクラは既にほぼ満開。…

人の気持ちなんか……

頭の切れすぎる人 頭の回転が良すぎるのか、何でも人の先へ先へ回り、こちらが返事に困る人がいる。 たとえば社務所での雑談で「あの家のことだから、ごう突く張りの親父が息子の後ろから、神社の寄付なんか出さなくていいぞ、って袖引っ張っているに違いな…

孫と息子と娘

ああ、しんど 息子一家が里帰りしたので、昨日は私も数ヶ月ぶりに完全オフ。おじいちゃん、おじいちゃんと一日中孫に遊び相手をせがまれ、夜帰る車にバイバイした後は疲れがどっと。妻も朝から晩まで「おふくろの味」接待でぐったり。おまけに外でひとり暮ら…

花とあらし

東京のサクラ、去年より13日遅れできょう午後開花したと気象庁。 窓から見える境内のサクラを調べたけど、まだつぼみ。あすか、あさってにはちらほら開くだろうか。ちなみに昨年は30日開花と社務日誌に残しているから、こちらも三四日遅れと予想される。 花…

きょうのため息

氏神さまは、氏子の手で維持運営されてます。 各地区の代表が氏子総代。わが社には40人ほどの総代がいて、これが一国一城の主ばかり。土地柄農業者と紡績会社OBが大半、それに商店主や役人上がりのご隠居さん。一堂に顔をあわせると全くの老人クラブ。 宮…

気分はユ・ウ・ウ・ツ

また雨。暖かい雨には救われるものの、どんより雲の垂れ込めた空はやっぱりうっとうしい。 仕事の手を休めて、何となく窓越しに雨足を眺めていると、玄関に無言の来客。四十代であろうか、見るからに憂うつそうな女性の顔。もぞもぞしていたが、思い切ったよ…

ウグイスの声聞きました

きのうまでと打って変わり、朝から浮き立つような春の陽気。 境内に響くウグイスの声。今年初めて聞きました。社務日誌をめくると、去年は30日に初鳴きと書きとめています。参道のサクラは、もう今ごろ見られたのに、ことしの開花は月末か4月初めになるでし…

タヌキの散歩道

参道を散歩するタヌキの姿を見かけた、という声を時々耳にします。やれやれ、キツネのお宿に続いて今度はタヌキか。 町なかに残された3.5ヘクタールの鎮守の森は、小動物や小鳥にとって格好の住家になっているようです。 私は就任早々、氏子総代の力を借りて…

チョコ、もらったぞ

社務所の窓口に可愛い女性が立った。ニコッと笑って、頭をぺこり。 一瞬、誰だっけ…。ああSちゃんだ。「久しぶり…」上がりなよ、と事務室へ招く。 「これ…」と彼女が差し出す小さな包み。 「なあに」 「バレンタインでしょ」 「ありゃ、そうだったな」 「ほ…

浮遊霊がうようよ

宮司に着任のころ、社務所の留守番おばあさんが話しかけてきました。「夕暮れの神社周りは、浮遊霊がうようよいるんですって。怖くないですか」若い新任神主を驚かすつもりなのか、私の顔色をうかがってニヤニヤしている。私も「そんな話聞き初めです。浮遊…

もののけを追っ払ってよ

顔見知りの老女が社務所の窓口で訴えるように「米寿になったので、厄除けのお祓いをお願いしたいが…」両手を合わせました。 「八十八は年祝いですね。3月初めに厄除祈願祭があるので、その時厄のお方や年祝いの方々とご一緒にいかがでしょうか」と勧めたら…

キツネのお宿

本殿裏の境内林に、つい最近キツネが住みついたようです。 森のくぼ地の土手に深い穴を掘って巣をつくり、ひそかに行動しているらしい。樹木の手入れに森へはいった氏子総代(ボランティア)が姿を見かけ「おとなしい、きれいなキツネですよ」と教えてくれま…

ちょこちょこっとお祓いしてや…

拝殿を閉めようかという夕方4時、境内に1台の乗用車がはいってきた。 「車を買い換えた。お祓いしてやって。ちょこちょこっとでええわ」ズボンのポケットからよれよれの万円札。「これで。釣り頼む」 ともかく拝殿に上がってもらってお祓いをし、宮司が神…