ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

雑学

珍問、奇問、難問

神社にいると、いろんなことを尋ねられます。
けさも出社して間もなく、参拝を終えた顔見知りの老女が窓口に寄ってきました。
宮司さんとお顔合わせたらお聞きしたいと思っていたんですが、屋敷の中にサカキの木を植えてもよろしいでしょうか」と私の表情をうかがう。
「かまわないでしょう。植えたら良くない出来事があるって話聞いたことありませんから」と私。
「安心しました。神さまのたたりでもあったら大変だと心配したものですから。実は、神棚のサカキ立てに挿している小枝から根が出たので、屋敷内に植えかえて育てたいと思いまして…」毎日水だけ入れかえて、幾日間も祭っていたから根が出たのだろう。老女は、しばらく世間話をして帰って行きました。
これはまだやさしい質問。質問は多岐。電話で身の上相談してくる人もあります。

「ことしは厄年の家族が3人、一人は裏口から出入りしなきゃ障りがあるってホンとですか」

何て深刻に尋ねられ面食らうこともある。獅子舞の青年から「家内が妊娠中、他人の厄もらうと困るから、ことしは舞手務めるのごめんしてよ」等々。大方は、聞いてもその場限りで忘れてしまう迷信の類いがほとんど。
でも尋ねられれば、その時はこちらも真顔を繕い、相手がある程度納得する答えを出さなきゃ、頼りない神主だと思われる。神道研修部で習った知識は役に立たない。実務についてからの浅く広い雑学が頼りです。