「ワンちゃん」は、平凡なニックネームです。
新聞記者駆け出しのころ先輩がつけてくれました。
本名に一の字がつくからワンちゃん。その時代、親しい記者仲間はたいていあだ名で呼び合っていました。<写真は遊軍記者のころ>
記憶に残るのは、今なお裁判の続くあの<名張毒ぶどう酒事件>に出合ったこと。
当時は県警本部記者クラブ詰め。事件の起こった日は夜勤で、現地第一報から取材にかかわりました。
この時期、少しは勉強もしました。体力も気力もみなぎっていました。でも、燃えているだけに人並み疑問にもぶつかりました。真実って何だ、正義ってなに…。時にはいささか怒り、悩みもしました。
社内は折からの労働争議、労組にうんざり。会社にも愛想がつき。そのうち毎日の仕事に空しさを感じる場面が多くなりました。まだ純粋だったのですかね。
いずれ家業を継がなければならない事情もあり、養父の病気を機に30代半ばで退社、早々と第一の人生にみずからピリオドを打ってしまいました。