ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

忘れたころに……神前結婚式

 一年振りに結婚式をとり行った。
 受け付けて色々話を聞いてみると、両家親族等の出席者が40人。こりゃ大変。
 ここ数年来の挙式は、ほとんどが新郎新婦と両親、兄弟ら出席はせいぜい数人。仲人はなし、といった簡素な結婚式の申込ばかりだった。
 忘れたころの災害とぼやけば相すまぬ話だが、こちらは準備が大変。
 神饌室の棚に積み上げてあった折敷はゴキブリのフンで真っ黒。白布はと物置から段ボール箱を引っ張り出せば、これまた雨漏りとゴキブリのフンとでシミだらけ。
 ひゃー。折敷の汚れは湯でこすって落とし、白布は呉服屋へ走ってテーブル10本分を裁断してもらい新調。
 臨時巫女。去年頼んだ二人のうち若い方は結婚してしまって県外へ。あわてて新卒のプーちゃんを探したが、これまたあいにく。
 ワラにもすがる思いで、行きつけスーパーのレジ係り嬢にアタックしてスカウト。折りよく挙式当日は勤務が休みだから、巫女の体験をしてみたいとOKの返事。やれやれ。リハーサルの日を決める。


 孤軍奮闘、どうやらその日に漕ぎ着け、にぎやかな結婚式は無事滞りなく斎行された。
 老体のこの身は腰痛をぶり返し、後片づけもそのままで数日。やっと昨日今日、こぶしでとんとん腰をたたきながら、盃を洗い、折敷を片づけ、白布を折りたたんで段ボール箱へ今回は確実に収納する。テーブルはだれか氏子総代をつかまえて物置へ運んでもらうつもりだ。
 
(当神社は十数年前まで、挙式から披露宴まで行っていたが、施設の老朽化と近くに開業した大手結婚式場の影響で申込件数が減って披露宴会場を閉鎖、今は拝殿で挙式だけをとり行っている)。