ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

やれやれ、3月

 窓越しに見える東参道のソメイヨシノ。あした辺りちらほら咲き初めそうな気配。

 毎年のことながら、年度末の3月は体も心も余裕を失う。妻に任せている店の決算、私自身の確定申告。神社一般会計、特別会計の決算、指定無形民俗文化財等保存継承事業(獅子舞)補助金に対する事業・収支報告等々、梅林の梅の香を楽しむひとときさえ見出せぬままあと1週間で弥生も終わる。

 自分の能力が落ちたのかな、と老体を嘆きつつも、仕事が一つ、また一つ終わるたびにそれでもささやかな満足感を覚える。そんなきょうこのごろである。

 近隣神社の同僚神職は「おれは掃除屋だ」と嘆く。氏子総代たちが「宮司さん、祈祷何かやらんでよろしい。毎日境内の掃除さえやってもらっていたら結構」とおっしゃるそうだ。そんな神社もある。
 
 私などはさしずめ事務屋だ。ほとんど終日、パソコンとにらめっこの日が多い。事務の間を縫うみたいに、神職の主な仕事である宮参りや車のお祓い、厄除けの祈祷、神職の生涯研修会への出席、はては神前結婚式の予約を受けて臨時巫女のスカウト?やら、銀行に郵便局次は教育委員会へ、ああ忙し忙し。


 おや、いつの間にか定刻。拝殿を閉め、ポットや茶殻の始末をして退出とするか。