ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

秋の夕暮れ

気がついて立ち寄れば、キンモクセイもあらかた花を落とし、次はサザンカまで境内に花はない。サクラの葉も早や黄色に染まり始め、木の下は一面茶色の病葉(わくらば)が重なりあう。
秋はいつも音もなく忍び寄り、やがて駆け足で過ぎてゆく。人生を重ねてみてはちょっぴりセンチを楽しんでみる。ひとり参道をそぞろ歩く秋の夕暮れである。
気分転換。
神社の難題、家業のやりくり、家族のこと……来る日も来る日も両手には難問がいっぱい。あせっても仕方がない。一つ一つ崩して行こう。心臓の主治医に内緒で、焼酎「いいちこ20%」の水割りを一杯傾けながら、そんなこともふと思うこれまた秋の夕べである。