ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

宮司のトイレ掃除

参道を挟んで事務所から60メートル離れた木立の陰に境外トイレがある。先ごろ工費130万円で改修したばかりのピカピカ水洗で、曲がりなりにもバリアフリー
心配したとおり、早速汚された。昼間の利用は、ほとんど姿を見ない。私が退社した夕方から翌朝までの間に使ったやからが粗相したもののようだ。汚すのは常習者が多いと聞いたことがある。
トイレ掃除、だれがやるの?。これまた宮司の仕事です。肩書の宗教法人○○神社代表役員・宮司とは名ばかり、仕事は祭典や祈祷、庶務・経理事務などピンから、キリは参道掃き、御殿のぞうきんがけ、手ふきタオル洗濯、トイレ掃除まで数え上げればそれこそキリがない。
今までの経験から、公衆トイレの掃除は、ちょっとサボると汚れは倍増。手がつけ難い状態となる。あげく新聞や雑誌を投げ込まれたり汚れた下着まで突っ込まれたりする。嘆かわしい限りだ。
かといって嘆いたり愚痴っていても誰の手助けもない。常勤職員は私一人限りだ。早速事務所からバケツで湯を運び、柄つきタワシで便器をこすり揚げる。かくなる上は、こっちも意地だ。ピッカピカに磨いて、クセの悪い尻と対決してやれ―。奮闘40分。窓のちりを払い、フロアも水をまいて土ぼこりを流し、なめてもいいほど?に仕上げた。
その後ここ四五日、毎日のぞいて見るがトイレはきれいなまま。かすかに足跡が残る程度。さてさてこの対決。バチ当たりがついに尻クセを改めるのか、それともピカピカトイレ(宮司の清掃日課)がいつまで続くのか。あとの話は、いずれまたその節。