ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

結びのひとこと

おばあちゃんは汗びしょり…

大安の土・日は、数週間前から初宮参りなどおめでたい参拝・祈祷の予約がはいっている。17日の大安日曜もそんな一組が。50歳そこそこの若いおばあちゃんが、何日か前わざわざ勤め帰りに社務所まで車を飛ばし予約申込をされて行かれた。
お参り当日は、うだるような暑さ。おばあちゃんは明るい柄の和服をびしっと決め、初孫の男児を抱いてにこやかに社頭に立たれた。額からうなじは汗びっしょり。若いパパが受付を済ませ、絵馬に「健やかに育ちますよう」と書き入れる。この間、若いママは玄関に突っ立ったまま。ママはなあーんにもしない……近ごろの見なれた風景である。

さわやか、簡潔に…

冷房の効いた拝殿で一息入れてもらう。ころあいを見計らって、まずお祓い。次いで神さまに祝詞を申し上げる。次に雅楽「越天楽(えてんらく)」のテープが流れる中各人が玉ぐしをお供えし、子供の健やかな成長をお祈りする。
終わって、私は参列者に向かって座り直し「3分間講話」をする。結びの一言である。お祓い、祝詞と続く私の神職としての立ち居振る舞い(祭式作法)の評価は言うまでもないが、この結びの2、3分間で願主が深く感動し、満足して帰られるかどうか結果が出る。いわば集大成。全霊を注ぐ、といっても過言ではないほど私は集中し緊張する。かといって反り返って格好つけてはいけない。一言一言はっきり簡潔に。喜びを分かち合うように、さわやかにお話しする(自分ではそんな気持ちで話しているつもりだが、ただの自己満足か)。
帰り際パパ・ママから「次は七五三もよろしくね」何て今から予約?されたりすると、ほんとうにうれしい。
   ☆余分なひとこと……祈祷時間おおむね30分。玉ぐし料(祈祷料)は5千円。初宮参りのお下がり(記念品)は紅白お干菓子、清酒1合、お守、スプーン・フォークセット、食初箸、箸置き、ティバッグ、絵馬など1,500円相当をお渡しする(車のお祓い、厄除けなど祈祷によって記念品の内容は若干異なる)。