ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)

ふる里は、今・・・

秋のお彼岸。妻と連れ立って私の生まれ在所へ墓参に出かけた。

 車で30分ほど。

 

村はずれの、曲がりくねった細い坂道を上り詰めた辺りに墓はある。

 

花と水を供えて父母や先祖の霊を慰め、当家一統の無事を祈った。

 

実家に寄り、弟夫婦と歓談した。

私の同級生や幼なじみの消息を聞いた。

 

セイキ君は元気だが、ケン君やナッちゃんは早々と他界し、看護師になっていたアサヒちゃんもつい先ごろあちらへ逝ってしまったという。

 

同じ村内に嫁いだフナちゃんや隣町に住むキミちゃんは、弟夫婦に出会うたび「兄さんは、元気でしょうか」と私の様子を聞いてくれるという。

 

嬉しいことだ。

私も急にあの子たちの顔が見たい思いに駆られる。

 

実家の目の前にどっかり横たわる山並みの雄姿は昔とちっとも変わらないけど、その山すそまで広がる田んぼのあぜ道や土手を、この時期真っ赤に埋め尽くした彼岸花は一本も見られない。

 

土手道などすっかり舗装されてしまったからだ。

 

小学校から帰ると、刀に見立てた竹切れを振りかざして、彼岸花を片っ端からなぎ倒してたわむれた。あの頃の、ふる里の光景ははるか思い出のかなたである。

 

黄昏人(たそがれびと)の郷愁だろうか」何てつぶやきながら在所を後にした。

 

帰宅して駐車場に車を止め、ふと目をやるとフェンス沿いに、十数本の彼岸花が、思いなしか何だかしょぼくれた花を西日にさらしていた。

「来年は、家族をいっぱい増やして賑やかに咲き乱れてや」とその彼岸花に声をかけてやった。

 

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