ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

今日は見知らぬ顔ばかり・・

 ふだん、私個人のお金の出し入れは、A銀行B支店のATMで済ませているが、少し尋ねたいことがあったので、一年ぶりくらいだろうか窓口に立った。

 

 順番を待つ間、カウンター内で立ち働く行員さん方のお顔を見渡したが、奥の支店長席で書類を見る男性も、窓口の女性も、どなたも知らない人ばかりであった。

 

 数年前までなら、窓口を訪ねれば、顔見知りの若い女子行員が「あら、宮司さん」と、にこにこ気安く話しかけてくれたし、時には支店長がわざわざ席を立ってきて一言二言愛想してくれることもあった。

 

 私が宮司を務めていた神社の祈祷料や賽銭等の預け入れなど、日常のお金の出し入れは、ほとんどB支店にお願いしていた。

 また、毎年仕事始めには、支店長始め主な行員の方々、お揃いで企業繁栄・社員安全の祈祷を受けにおいでになっていた。

 

 そんな関係で、在職中は支店の方々ほとんどお顔なじみであった。銀行員さんも転勤が多いようだ。リタイアして4年もたってしまった私はすっかり浦島太郎である。

 〽「どこへ消えたか 女の子さえ、今日は見知らぬ顔ばかり・・」 むかし、鶴田浩二が歌っていた「名もない男のブルース」のフレーズを思い出しながら銀行を後にした。