ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

6月の花嫁さん、お幸せに

 天気予報どおり朝から晴れ上がって、水銀柱も急上昇。
 あいにくガスエアコン故障中の、蒸し暑い拝殿で11時から神前結婚式。
 新郎新婦と両家ご両親の6人が昇殿、宮司の私一人奉仕で式典をとり行った。
お祓いから始まって三々九度、誓詞、指輪の交換、親子固めのサカズキ、玉ぐしお供え……とフルコース。所要時間35分。
 いつもの挙式は2人の臨時巫女と3人で奉仕するのだが、「挙式は、できるだけ簡単に済ませたい」との新郎側の注文に応えたのである。新婦の胸のうちはわからない。
 型どおりの祝辞を申し上げ、「夫婦お守」など「お下がり」をお渡しして一同退出。
拝殿から玄関までの長い廊下を下がりながら「フランスではジューン・ブライド、楽園の季節と言って、6月の結婚は幸せってね。」と、おしゃべり。「お健やかに、お幸せに」玄関でお見送りした。みなさん笑顔とともに車へ乗り込んだ。
 新郎新婦が、西洋の風習にならって挙式の日取りを6月と決めたのかどうかそこまで聞かなかったが、とにかく神前でお二人幸せを誓ったのである。苦楽をともに人生を切り開いて行ってもらいたい。
 5月末にも略式?挙式を行った。新郎が子連れ再婚で、いまさら結婚式なんて、と新郎は尻込みされたらしいが「神前で形だけでも式をして」と両親に懇願されて、きょうのような宮司一人奉仕の挙式で済まされた。
その組も、式を終わってみて「こんなにていねいに本式の神前結婚式をやってもらって……」と、新郎新婦、ご両親とも大変喜ばれ満足されてお帰りになった。
 続くもので、8月にも一組、これまた略式挙式の予約がはいった。顔見知りの母親が「できちゃった結婚なんです。お恥ずかしい。宮司さんに七五三やってもらった、あの息子です。」と電話。
 ご両親としては、形だけでもいいから神前で結婚式を挙げてけじめをつけてほしい、と願っての予約電話であろう。