ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

欲張って損……

やはり日曜日だ。昼前に初宮詣(はつみやもうで)の親子連れ3人。ついでに新車のお祓いもしてほしいとの申し出。
当社の祈祷料は、宮参りでも車のお祓いでも安産、厄除け祈願など何でも5千円以上。でも5千円以上お供えの人は皆無。実際は5千円均一みたいなもの。
拝殿で祈祷した後は、盃でお神酒をうけてもらい、お下がり(撤下品)をお渡しする。車のお払いの場合は、交通安全守(500円)と交通安全ステッカー(500円)をお神酒、お干菓子などお下がりに添えて授与する。お下がりは、原価に換算すると祈祷料の30〜40%に相当する品。
さて、同じ願主が初宮詣と車清祓を一度に斎行してほしいというので、こちらとしては赤ちゃんがぐずりかけている気配だし、なるべくスピーディに運んであげたいから、祈祷料は2件あわせて5千円でOKしようとの心積もりで、まず「授与品としてお受けいただくお守、ステッカーともお好みの色、タイプをお選びください」と「三方(さんぼう)」に並べて差し出した。
若いお母さんはあっさり「ステッカーは車に貼り付けないから不要です」とのお返事。すると脇から姑さん「タダでいただけるものは何でももらっておきなさいよ。ステッカーはトランクにでも放り込んでおけばいいじゃない」と口を出した。
こちらはカチンと来た。相手が欲を張るのならこちらもサービスすることなかろうと「祈祷料は2件で8千円お供えください」と言ってやった。これでも正規の2千円のサービスだ。
祈祷は、いつもどおり気を入れて執り行なった。ぶれる自分の心を鎮めるかのように。