ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

めいの結婚式

1週間のうちにおい(甥)とめい(姪)の結婚式に招かれ、私どもも夫婦で出席した。
挙式はどちらも教会式。この歳になってアーメンは初めてで緊張していたが、すぐリラックスできた。明るい式場、若い女性の聖歌隊、スピーディな式次第――チャペル式のウエディングに人気があるのもうなづける。続く披露宴の演出もさわやかで、新郎新婦と一緒に楽しむほんわかムードいっぱい。
私の奉務神社も結婚式を受け付けているものの、ここ数年はほとんど申し込みがない。かつては年間百数十件の挙式・披露宴があったようだが、近くに民間の大きな式場が開業すると急速にさびれ、施設設備の老朽化とあいまって、私が就任したころには年間数件に落ち込んでいた。間もなく披露宴を請負っていた業者も赤字の累積で式場経営から手を引き、今は神社本来の神前結婚式だけ。たまに挙式を申し込んでくるカップルは、お腹がふくらんできたので急いで挙式だけでも済ませておきたいと世間体を気にするペアや、式や披露宴にお金を使うのがもったいない節約派とか、中には式だけは本物の神社でやりたいと今どき奇特?なカップルなど、実情はそんなありさまである。
栄枯盛衰にはそれなりの理由がある。私どもの神前結婚式場の衰退も、その経緯はおおむねはっきりしている。前任関係者には無礼な言い方だが、安閑としていたからである。
神社の運営も同じことで、これまでのように氏子組織だけに頼って、何となく細々「守り」だけやっている限り明るい明日は見えない。何てぼやく私も、ただ霧の中をさ迷い続けているだけである。ああ、ふがいない。