ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)

淡い恋心

同窓会といえば高校の同窓会。宴たけなわ。幹事役の私は一人一人の席を順番に酒をついで回った。やがてC子の席に相対すると、待っていたかのように彼女「高3の時、あなたが声をかけてくれるの待っていたけど、見向きもしてくれなかったわね。なにしろ生徒会長のキミはもてもてだったからね」と恨み言。C子の衰え知らぬみたいな艶やかな白い顔がまぶしかった。
「とんでもない。僕だって十分その気があったけど、そのころC子さんにはもういい彼がいるともっぱらうわさされていたからね。声かけても、拒否されるようでちょっかい出せなかった」と私は言いわけした。
お互い思いつつ、打ち明けられずにすれ違ってしまう――青春時代にはよくある話らしい。――そうだったのか、残念なことをしたと後悔してもあのころは帰らない。淡い青春の恋心、それは胸深くしまっておいて、時折そっとのぞいて懐かしむものかも知れない。
あの同窓会から何年過ぎたろう。その後、彼女の消息は途絶えたまま、級友誰も知らない。