ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

初盆

初盆の7日夕方、社務所を早仕舞いして隣町の親友宅を訪ね、祭壇の彼の位牌に手を合わせた。
「無沙汰ごめん。早いもんだなあ、もう1年たってしまった。そちら(幽界)は、どうだ。お蔭様で俺はまあまあだ」と語りかける。写真の彼は答えるはずもなかったが、彼の御霊は奥さんや娘、孫らに手厚くにぎやかに迎えられ、きっと喜んでいるに違いなかろう。
彼は高校のクラスメイト。以来の親友だった。無口だが、ひょうきんなところもあって、思わぬ時に周りを笑わせたエピソードなどしばらく奥さんと話していたが、玄関に次の訪問者の気配を感じて座を退いた。
親友の御霊と心を通わせ、少し気が休まる思いだった。お盆の何日間を、彼の御霊は家族や親類、友人らに囲まれて、先祖の霊ともども楽しい饗宴を行っているのであろう。
人の生命は神さまから与えられたもの。この御霊が幽界に帰るので、私どもは死を帰幽(きゆう)と言っている。お盆には、御霊が家族の所へ一時帰宅するのだという気持ちになれば、きっと懐かしい人と出会える。
私は実母の1年祭(一周忌)も、弟や妹と先月済ませた。もちろんお盆はお盆で生家に帰り墓参りをする。長男として親不孝を詫びつつ。