ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

ちょこちょこっとお祓いしてや…

拝殿を閉めようかという夕方4時、境内に1台の乗用車がはいってきた。
「車を買い換えた。お祓いしてやって。ちょこちょこっとでええわ」ズボンのポケットからよれよれの万円札。「これで。釣り頼む」
ともかく拝殿に上がってもらってお祓いをし、宮司が神前に祝詞を奏上して交通安全をお祈りする。この間くだんの中年男性、いすに座った膝はしきりに貧乏ゆすり。終始落ち着かない。
拝殿外の祓え所で車の四方をおサカキ(おおぬさという)でお祓いし「作法どおりお祓いをしました。先ほどあなたも神前に玉ぐしを捧げて、みずからも交通安全をお祈りされたことと思います。ハンドルを握る間は、どうか気を引き締めて安全運転を…」と一言添えました。「おおきに、ありがとね」ニコッと笑って走り去りました。
それなりに気が済んで帰って行ったようです。その気があって車のお祓いに来られたのですから、そのお心には敬意を表しましょう。でもちょっと何かが抜けているような気がしました。