ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)

招かざる訪問者<その二>

 神社には、時たまこんな人もやってきます。
 「主人とけんかして家出してきたが、思い直して帰ります。ついては電車賃がないので少し貸してくれませんか」と、小太りの中年女。
 「警察へは行きたくない事情があるのですよ」と、社務所の玄関先にどっかり腰を据えて粘る気配。魂胆はわかっている。ただの物もらい、コジキさんです、この女。しばらく相手になっているうち腹立たしくなってきました。ええい、めんどうだ。「3千円やるから帰ってよ」。女は三度も頭を下げ引き揚げて行きました。やれやれ。ひと息。
 これは失敗でした。味をしめたか、1ヶ月過ぎると「えへへ…」と笑いながらあの女また玄関に立った。忙しいさ中に、相手になっておれぬわ、と結局は今度もポケットマネーから千円持たせて追っ払いました。
 数ヶ月後、やっぱりやって来ました。「ホトケの顔も三度というからね。もうお金あげないよ」と、今回は相手にしない。「じゃ神主さん、5千円でカラダ買ってよ」あきれた女だ。「おまわりさん呼ぶよ」と電話に手を掛けたら、ぶつぶつ言いながら帰って行った。それきり姿を見せなくなりました。
 やっぱり初めに甘い顔・スキを見せたのが間違いでした。神職だからと、つい態度を控え目に応対したのでつけ込まれたのでしょう。勉強になりました。

 アベックこれまた迷惑です。お宮の森や境内は、昔から逢いびきの名所らしい。パンティやゴム、ある時は女性オナ用<張り形>とおぼしき手作り逸品?を拾って始末したこともあります。
 せんだっては境内見回りの途中、昼下がりの御殿裏で制服の男女高校生にばったり。いやあ、驚きました。男は神殿の石垣に腰を下ろし、女の子を膝にまたがせて今まさにHの宴たけなわ。
 「場所わきまえてよ。神罰下ってチンチン曲がっちゃうぞ」と声を掛けたら「おっちゃん目障りや、散れ、散れ」とわめいた。女の子は悪びれる様子もなく、笑いながら腰を上下に振り続けていました。あきれ果てました。でも、気がとがめたかこの二人、間もなく場所を森の奥深くに移して続編を楽しんでいた模様です。
 神への畏怖だの敬神だの説く以前の話。私ども管理者がとりあえず最も警戒するのはタバコの火。落ち葉の季節になると本当に気を遣います。