ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

憑き物のお祓い(除霊)

 キツネなどけものの霊にとりつかれた、いやはや果てはご先祖の霊のたたり?なんて深刻な顔で神社を訪れる人があります。

 悩みごとをお聞きすると「悪霊にとりつかれているから、○○神社でお祓いしてもらいなさい」という占い師の<お告げ>で、近くはもとより遠くから来られた人もいます。
 何でまた当社が名指しされたのか理由がわからないし、第一に占い師が自分でその悪霊やらを追っ払えば済むことじゃないか。「占い屋は、そんなことできっこないから、お客を脅すだけ脅して不安に陥れ、後は神社へ押しつけて責任逃れをするんだよ」と、いつぞや先輩神主が教えてくれました。
 ともあれ申し出があれば、お祓い、除霊を行うのが宮司の務め。願主の祈りが神さまに通じるよう、お気持ちが少しでも安らぐようにと祝詞(のりと)の一言一句に心を込めて筆をとり、神前に奏上します。

 つきもの・憑依(ひょうい)は、古くは神の使いである動物の霊を呼んで、神の言葉を聞くという真面目な信仰が、次第に呪術と結びついて、つきもの落としに行者や祈祷師が活躍、それが今なお根強く信じられているのでしょう。
 いずれにせよ本人はとても深刻です。ただの迷信と片づけられない<人の心の弱さ>を、つきもの信仰から見ることができます。
 願主に、みずからつきものを払いのける決意と祈り、アクションがあってこそ神さまはお力を貸してくださいます。私はそう信じます。

 さて、当社で除霊を受けられた人々。一度では気が治まらず、家族4人そろって二度も足を運ばれたご一家、一度でぷっつりのお方。皆さまはその後、いかがお過ごしでしょうか。