ワンちゃん旅の宮余話

ワンちゃんはニックネーム。愛称「旅の宮」元宮司のつれづれ身辺余話です。

男、至福のひととき?

連休で、名古屋に居を構える長男が帰省した。久しぶり、正月以来である。 夕食の後、コーヒーを飲みながらの雑談で。 息子が言うには、毎日大抵夜9時ごろ車通勤の帰り道、途中コンビニに立ち寄って100円コーヒーを買い、車の中で一人カップを抱え込む。 ひと…

今日は見知らぬ顔ばかり・・

ふだん、私個人のお金の出し入れは、A銀行B支店のATMで済ませているが、少し尋ねたいことがあったので、一年ぶりくらいだろうか窓口に立った。 順番を待つ間、カウンター内で立ち働く行員さん方のお顔を見渡したが、奥の支店長席で書類を見る男性も、窓…

沈丁花の花の香り……

2平米ばかりの裏庭に、妻が移植した沈丁花が花をつけた。 背丈は50センチほどだが、数本の枝に四五十個も白い花を咲かせ、辺りに甘く上品な香りを漂わせている。 チワワ散歩の行き帰り、鼻を近づけては、やや強い香気にひとり酔っている。 沈丁花の香りが…

『毎日、出来心』……

中日新聞のコラム欄で、女流画家篠田桃江さん(103歳)の「残り人生をスケジュールに合わせて動くなんて、とんでもない」「私は、毎日、出来心」という趣旨の言葉が紹介されているのが、目に留まった。 私は、思わずニヤリとした。何とシンプルで、歳を重ね…

さようなら、ターやん。  その3

報道部員は年中、肩にカメラをぶら下げ行動していた。写真が本職のカメラマンも、時には記事を書いた。地方紙の記者は何でも屋であらねばならない。 あのころ、記者不在の名張支局のカバーは伊賀上野支局が受け持っていたように憶えているが、実状は何とも心…

さようなら、ターやん。  その2

翌日から、報道各社の取材競争が始まった。 当時、伊勢新聞の県警本部記者クラブ詰めはNキャップと私の2人。私は県政記者クラブのカバーもさせられていた。 ベテラン記者のNキャップが、事件の現地へ向かい、私は鑑識課や県の衛生研究所などの取材を受け…

さようなら、ターやん。

ターやんが、亡くなった。 新聞の訃報欄で見て、びっくり。 二度三度、読み返した。 「ターやん」こと田中芳朗さんは元伊勢新聞写真部員〜カメラマン。 年齢は私より一つ上、入社は2年先輩である。 なぜか気が合って「おい、ワンちゃん、行こうや」と私を誘…

さつき満開

境内のさつき。ことしも満開。氏子総代が、きれいに形を整えてくれました。四、五日もすると、梅雨の走りが来そうな雲行きです。

目に若葉〜

三日続きの雨風で、境内林の装いが変わった。サクラやクスなどの病葉がきれいさっぱり落ち果て、みずみずしい若葉に入れかわった。春に三日の晴れなし。毎年この時期は、雨と風の日が多い。まるで世代交代をせかせるかのようによく降り、風も強い。移ろう季…

お幸せに

朝、出仕してほどなく、意気のよい若者が窓口に立った。 にこにこ笑っている。憶えている。去年春、当神社で結婚式を挙げられたTさんだ。 「宮司さん、お久しぶり。今日は結婚一周年記念日で、お礼参りにきました。妻も一緒に来たかったのですが、勤務の都…

ご利益を……

50歳前後と思われる男性が、土曜か日曜日の朝一人お参りされる。 数ヶ月前、社頭で初めてお見かけしたころは軽く会釈を交わすぐらいであったが、近ごろでは私の姿を見ると、お神札授与所の窓口まで歩み寄ってきては、いろいろ話しかけてこられるようになった…

梅は咲いたか……

寒風がおさまるのを待って、久しぶりに境外の梅林へ足を延ばした。 早やつぼみが膨らみ、一輪ニ綸咲き初める木もあった。立春が過ぎてから、寒波に身を縮める日が幾日かやってくるのが当地の例年2月である。 来週11日は祈年祭(きねんさい)が斎行され、獅子…

疎き老眼すかして見れば……

去年の夏から白内障の治療を続けているが、老化がさらに進んだか、特に右目が急に疎くなってオペをお願いした。 右目は明るくなった。目の前の壁がこんなに白かったのか、ノートの紙もこんなに白かったんだ……。喜んだのも一両日、愛用のメガネと右目の度が合…

忘れたころに……神前結婚式

一年振りに結婚式をとり行った。 受け付けて色々話を聞いてみると、両家親族等の出席者が40人。こりゃ大変。 ここ数年来の挙式は、ほとんどが新郎新婦と両親、兄弟ら出席はせいぜい数人。仲人はなし、といった簡素な結婚式の申込ばかりだった。 忘れたころの…

こころ新たに

4月、新年度が始まった。 気持ち新たに、さあスタート。 境内、境外林のサクラ満開である。日差しも暖かい。 社務所は相変わらず忙しい。新任氏子総代の名札書きかえ、名簿整理、会計決算次いで会計監査、文化財等補助金関係の決算・予算・事業計画書の作成…

やれやれ、3月

窓越しに見える東参道のソメイヨシノ。あした辺りちらほら咲き初めそうな気配。 毎年のことながら、年度末の3月は体も心も余裕を失う。妻に任せている店の決算、私自身の確定申告。神社一般会計、特別会計の決算、指定無形民俗文化財等保存継承事業(獅子舞…

梅も桜も、もう少し先のようです

夕方5時前、ジャンパーを引っかけると、思い切って寒風の境内に立った。 700メートルほどの長い東参道を行くと梅林。つぼみは少しふくらんだ程度。桜はまだずっと先のようだ。あたりをちょっと見回して異状なしを見届けると、急いできびすを返す。 参道沿い…

総代さん、誇りを持って!

街行けば元気なお年寄りが満ち溢れて?いる。まさに熟年。 夫婦旅行、ジョギング。梅の便りを耳にはさめば、カメラ片手に愛車で駆けつける。産直市に出向いてあれこれ試食して回る等々、毎日忙しいことである。それが生きがいという人もあろう。 そんな人た…

右向けば、右を向いたまま

私ども氏神さまは、氏子の地域代表である氏子総代の奉仕活動で維持されている。 宮司に就任したてのころ、古い総代から「立派な宮司がひとり逆立ちしたって神社はやっていけない。運営は、すべて氏子総代の働きいかんにかかっている」と冗談まじりのあいさつ…

あちゃー、また、やられた

神宝庫の賽銭が盗まれた。施錠が引きちぎって破られ、真ちゅう製の錠前も消えていた。 賽銭箱の中身は、今回も銅貨数十円か多くて数百円であったろうが、人さまが祈りを込めてお供えした賽銭を盗む行為に腹が立つ。 賽銭箱を修理しても修理しても、しばらく…

神主さんはみんなタフ

神社庁支部の忘年会。いつもの顔ぶれ。 敬遠されたか、ことしも若い神職の姿なく、年寄りばかり十五、六人。 酒は強いし、大声でよくしゃべる。コンパニオン相手に、会場はたちまち盛り上がる。 それなりに楽しい雰囲気である。 それなりというのは、酒の勢…

とりとめのない話

明日の月次祭(つきなみさい)の準備を済ませてから、向拝所付近の落ち葉をかき集め、炉(といっても地面に穴を掘ってブロックで囲んだだけのもの)で燃やした。 雨上がりで、湿った落ち葉はなかなか燃え上がらない。 「落ち葉を焚いた煙にむせ、涙誘われ泣…

やすきにつく

氏子のAさんが車を買い換えたので、昇殿され交通安全を祈願された。 先ごろ追突され、車は後部を大破したが、幸いけがは免れたとの話。 「新車にかえるたび交通安全祈願のお参りをし、車のお祓いをしてもらっているお蔭です。小難で済ませてもらった。」と…

やっぱり動くべし

まさに小春日和。穏やかで、暖かい一日であった。 朝から七五三の祈祷が数件。3歳児と5歳児ばかり。ロビーや拝殿は人数以上のにぎやかさ。廊下でのかけっこには参った。 この日、境外地の近隣公園で地元商工会青年部主催のイベントがあって、会場への通り道…

はぐれ七五三

秋はいつも駆け足だが、ことしは気配を感じる間もなく過ぎ去って行った。 秋の大祭も終わり、週末のきょう明日は「はぐれ七五三」の予約が数件。よんどころない事情があったのだろうと思うけれども、やっぱり15日までにお参りいただけたらと残念である。何事…

いつかどこかで

紀伊勝浦へ妻と一泊旅行。熊野那智大社や新宮の熊野速玉大社をお参りした。 遊覧船で紀の松島めぐりや太地のくじら浜公園を楽しみながら、これは前にも来たことがある風景だ、いつだれと旅行した時だったろう、そんな思いに陥った。 那智の大滝や熊野速玉大…

郷に入っては郷に従え…

地鎮祭に奉仕した。 朝血圧を確かめたら100を少し超えていたので「大丈夫だろう」と心を決めて出かけた。4年前、心臓を患ってからは真夏真冬、氏子地域外からの出張祭典はほとんど近隣神社にお願いしている。 今回の地鎮祭施主は顔見知りの氏子、神社からの…

健康が一番

事務室の窓越しに見える植え込みに、赤と白の彼岸花が満開。 サルスベリとムクゲの陰に、たった数株。それでも参拝者の足がとまる。 季節は正直である。 先ごろから体調がしゃきっとしない。4年前から心臓を診てもらっていた病院の主治医の転勤に伴い、最寄…

倒れそうな鳥居

参道に鳥居が20本ほどたっている。 ほとんどコンクリート造りだが、白木づくりも数本ある。そのうち2本が虫に食われ、湿気で腐食も進んで根元ぐらぐら、心細い状態に陥っている。 総代(氏子の代表)らは「危険だ。早いとこ撤去してしまえ」と騒ぐ。とり…

6月の花嫁さん、お幸せに

天気予報どおり朝から晴れ上がって、水銀柱も急上昇。 あいにくガスエアコン故障中の、蒸し暑い拝殿で11時から神前結婚式。 新郎新婦と両家ご両親の6人が昇殿、宮司の私一人奉仕で式典をとり行った。 お祓いから始まって三々九度、誓詞、指輪の交換、親子固…

いのり 祈り

社務所の窓越しにこま犬が見える。 向拝所で拝礼を終えた参拝者のうち、幾人かがこま犬の前に立ち寄る。 大方の人は、こま犬の足元に1円玉か5円玉まれに10円玉をお供えする。 次にこま犬の頭、口元、胸からしっぽをなで、次にその手で自分の体の気になる…

雨の午前中

夜来の雨に洗われて、アジサイの花がにわかに色つやを増した。境内の一隅、そこだけ浮き出て、えも言われぬ風情。 雨の午前中は何となく気分が落ちつく。庭木のサツキも静かである。きょうあたり、この地方も梅雨入りだろう。 思い出したように電話が鳴った…

埋め草の軽い気持ちが……「八方除け」

神具製造会社のセールスと雑談中「テレビ番組か雑誌の影響でしょうか、近ごろ若い女性の間で「八方除け」のかわいいお守袋に人気があるんですよ」と彼が何気なくしゃべった。 「そんなこともあるでしょうね。今の世の中、何か流行るかわからんから」と私も何…

戦没者慰霊祭

地元A町遺族会主催の慰霊祭が当神社参集殿で行われた。 毎年6月第2日曜日、市長初め議員らを来賓として招き、遺族会員の7割近い150余人が参列して厳粛に斎行されている。 毎年のことだが、慰霊祭前日朝から当神社の氏子総代が五六人奉仕して境内林からサカ…

氏子をやめます

昼下がり。ご老体が社務所にやってきた。 「宮司さん。私んとこ、今年度から氏子をのかせてもらいます」 いかにも申しわけなさそうな顔をして、耳に手をかざした。 耳が少し遠いらしく、私の返事を聞き逃すまいといった表情。 「それは残念ですね……」と私。 …

拉致解決に協力してくれや

またぞろ、である。 電話を取るや、いきなり[宮司さん?」と気安く声をかけられた。 氏子さん?その声聞き覚えありの気がして、思わず「はぁ」と返事して、「しまった!」。 途端に相手は例のドスをきかせた声。講釈のマニュアルを読み上げた末「4万何がしか…

こころが揺れて

先日、初宮まいりで昇殿、祈祷を受けられたAさん夫妻からはがきが届いた。その節、向拝所をバックに写した記念写真を送ってあげた礼状である。 その日は朝から七五三と初宮の祈祷が交互に続き、ちょうどAさんで予約受付分が途切れて体が空いたので、デジカ…

秋は駆け足

午後4時前、もう境内に日差しはない。にわかに冷え込んできた。そろそろ拝殿を閉めてこようか。朝から数人の氏子総代が出て菊花展を撤収、宮司名の感謝状・粗品(撤下品)を携えてそれぞれ出品者宅を回り、作品を返し礼を述べて第5回菊花展は無事閉幕した。 …

しち・ご・さん

町内の菊花愛好家から出品された献花展、ことしも境内で開催中である。 色とりどりの大輪の菊をバックに記念撮影する着飾った親子連れ。神社がちょっと華やぐ七五三参り。朝から大賑わい。明日の日曜日も、朝一番から予約がいっぱいである。 ありがたい話だ…

神社はゴミ捨て場じゃない!

社務所から50メートル離れた一隅に、古いお札・お守の納め所があって、宮司のデスクから窓越しによく見える。 納め所にはほとんど毎日、入れかわり立ちかわりお札やしめ飾りを納めに来る人の姿がある。絵馬や破魔矢など小物から神棚、結納品、ひな人形にぬい…

カブトムシはどこへ消えた

境内林は虫取りの子らで賑わっている。歓声を上げているのは、つき添っている親たちの方みたい。 虫かごをのぞいてみれば、子供らが期待するクワガタやカブトムシの姿はない。セミやトンボ、たまに小さなチョウや羽虫。 「せっかくお宮の森を訪ねてもらった…

欲張って損……

やはり日曜日だ。昼前に初宮詣(はつみやもうで)の親子連れ3人。ついでに新車のお祓いもしてほしいとの申し出。 当社の祈祷料は、宮参りでも車のお祓いでも安産、厄除け祈願など何でも5千円以上。でも5千円以上お供えの人は皆無。実際は5千円均一みたい…

ヘンな一日(つづき)

(前回の続き)電話の女性は、長女と高校のクラスメイトKさんと名乗った。家へ遊びに来ていて、夜帰り際電車の駅まで車で送ってやった記憶があるが、随分以前のことで私は彼女の顔までは憶えていない。 「お父さんが神主さんだって聞いたこと思い出して電話…

ヘンな一日

社務所の事務も走り始めた10時過ぎ、電話。受話器からの声は中年女性と推定。 「つかぬことお尋ねしますが、神社に内職ありませんか」 「あいにく……」 「座っていてできるような手仕事はないものでしょうかね」 「さあ―。申しわけありませんな」何だかこっち…

見られてる

町内では銀行へ行っても、スーパーへ出かけてもよく誰かにあいさつをされる。ほとんどの場合、その人がどこで出会ったどなたなのか思い出せない。向こうは私を覚えている。 日曜午後、家内にお供して衣料品スーパーに出かけたら「こんにちわ」すれ違った30…

事故は神社の責任?

住宅建設業のA社から地鎮祭を頼みたいとの電話。 二三年ぶりだろうか。A社は、田畑を持て余している高齢者農家をターゲットに、共同住宅の経営を勧めて、社業大いに潤ったのかひところ大変な鼻息であった。当町とその周辺地域でも次々と農地が埋め立てられ…

紫ハカマのご利益は二倍?

さる日、雑談していた氏子総代から聞かれた。 「むらさきハカマ(紫袴)のネギ(禰宜)さんに祈祷してもらうと、あさぎハカマ(浅黄。水色に見える)の神主の祈祷よりも倍のご利益を授かるだろうか。宮司、あんたならどう答えるか」 神職の袴は、おおむねそ…

春なのに  その2

散りそびれた花あわれ。葉桜が風に揺れている。季節の移ろいを横目に、決算事務が忙しい。 一般法人用の会計ソフトを神社用にちょっと応用しながらで、面倒な作業が続く。それでも昔の手書き、電卓に比べると楽である。 決算の仕事を進めながら、頭の片隅で…

春なのに

朝、通用門をくぐると車のフロントいっぱいに満開のソメイヨシノが飛び込んでくる。生い茂る木々の緑をバックに、ほんのりピンクが明るくさわやか。浮き立つ乙女のようだ……何て表現してみたくなる。古い奴だとお笑いくださるな。 さっき境内林にはいったらウ…

梅、満開

臨時舞女2人の助務を得て神前結婚式のお勤めをした。 無事、滞りなく斎行し、喜びの新郎新婦、そのご親族をお見送りした。外は浮き立つぽかぽか陽気。 式場(拝殿)の後片づけをほっぽりだし、デジカメを引っつかむや境外の梅園にすっ飛んだ。三脚を構えた…