ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)

まぼろし?の善行‥‥

JR西日本の駅員さんが勤務中、酒に酔って寝ていた女性を救護室に連れ込んで乱暴したとしてクビになったあげく警察に逮捕されたという新聞記事が目に触れた。 昔から「人の世に盗人と痴漢は尽きぬ」とか言われるが、いつの時代にも、良からぬ気を起こすやか…

故郷の廃家

「故郷は遠きにありて思うもの‥‥」(後略) これは室生犀星の「小景異情」という詩の冒頭部分で、内容は寂しい詩なんだそうである。 私のふる里は、市町村合併で今では私の住まいと同じ行政区域内――同じ市内である。 指呼の間と言ってもいいほどの距離で、車…

心の罪・業(ごう)・心の傷‥‥

広島は8月6日、長崎は8月9日、ともに原爆投下(被爆)から73年の「原爆の日」。 原子爆弾が永久に使われないことを、ひたすら祈るばかりである。 澄み切った夏空を眺めていると、私は藤山一郎さんが歌った「長崎の鐘」(古関裕而作曲。昭和24年発売)を思い…

ひんやり‼抱きまくら

前々から「欲しいなぁ」と思っていた抱き枕。 「はい、父さんプレゼント!」思いがけず娘が、それもニトリのNクールまくらを買ってきてくれた。 「これは、これは。おおきにありがとう‥‥」 何だか私の心の内を見透かされていたみたい。やっぱり親子、気脈が…

――お恥ずかしや・・・

妻に探し物を頼まれ、倉庫のあちこちを探し回っていたら、肝心の頼まれ物は見つからず、代わりに私の懐かしいものが出てきた。 大きな段ボール箱に詰め込んだ新聞のスクラップブックが数十冊と4冊の文芸雑誌。 スクラップブックは、私が新聞社に在職中書いた…

にわとりの いのち

夕食のおかずは、鶏肉と野菜の炒め物。 「やっぱりもも肉が一番旨いや」とつぶやいたら、食卓の足元で飼い犬のチワワも、私のズボンのすそを前足でがしがし引っかきながら「ボクも相伴させてよ」(?)と催促する。 妻が「マロン(愛犬の名前)もこのごろぜ…

虫が起こる・・・

二三カ月前から読書虫?が起こっている。 リタイアした今、読書と言っても肩の凝らない時代小説――チャンバラ小説である。 佐伯泰英、葉室麟、稲葉稔、鳥羽亮から昭和三四十年代の山手樹一郎まで、読み出したらやめられない止まらない「カッパえびせん」CM…

妻の粗相

老妻が、自宅階段の下から4段目あたりから落ちた。2度目である。 私が、2階の部屋で探し物をしていると「お父さん、何してるの?」と階下で妻の声。面倒くさいので黙っていると、そっと上がってくる気配。その途端、ドスンと音が響いて「痛いッ」と悲鳴。 …

私と酒

時代小説を読んだ後、夜7時のテレビニュースで花より団子のお花見風景を眺め、続いてBSで時代劇「御家人斬九郎」を見終わったら、酒を飲んでみたくなった。 冷蔵庫を開けるまでもなく、我が家に冷えたビールなどあるはずもない。 料理に使う2合ビンがあっ…

「お父さん、離婚考えたことある?」

いつものように、勤め帰りの長女が、車を運転しながら電話してきた。(ブルートゥースを使って社内ハンズフリー電話) 親子のたわいない話ばかりだが、時には今日みたいに突然ドキッとするような問いかけをされることがある。 「お父さん、お母さんとの離婚…

け・い・ち・つ(啓蟄)

3月6日は、啓蟄(けいちつ)――冬ごもりしていた虫たちが、土の中からはい出してくる。 大きらいなヘビ様も動き出す。 私のお仕えしていた愛称「旅の宮」(離宮さんとか大漁の宮とも)は、古くからヘビ山と呼ばれ、ある年には特に「まむし注意」の立て札を森…

インフルエンザにかかって、亡き母を思い出す

2月1日の早朝から下痢が始まった。咳も連発する。 風邪かな?と様子をうかがいながら過ごす。 三日目、トイレに駆け込む間が開いてきたので、町内のかかりつけ内科へ車を走らせる。 「普通の風邪みたいですね。整腸剤を5日分出しておきましょう。」やれやれ…

妹よ

隣町に住む末の妹が、久しぶりに電話してきた。 「お兄ちゃん、ちょっと教えて‥‥」 妹の話の内容は、しゅうとめが他界した後引き継いだ自宅の神祭。神棚に、毎朝新しい水、米、塩をお供えして「家内安全」をお祈りしているという。 感心させられた。 神棚の…

ひとのうわさ話。

「小人(しょうじん)閑居して不善をなす 」という成句があるが、私みたいな老人が暇を持て余していると、ふと、何でもない過ぎし日の出来事を思い出すものである。 はるかムカシ(昔)、I新聞に転職して記者駆け出しのころの話である。 仕事は、まず朝の「…

イメージする……彼の女性(ひと)は

母の妹が他界し、その葬儀に参列するため郷里へ帰った。 久しぶりに親戚や幼なじみの顔と出会い、あいさつを交わした。とっさに名前を思い出せず「森の孝夫(仮名)やがな‥」と言われ「あっ、ごめん。見間違ったわ」と笑ってごまかしたものの、ばつが悪かっ…

人間のすることに・・・

新聞の社会面を開いたら「裁判官 うっかり。実名で呼びかけ」の見出しが目に留まった。 性犯罪の被害者が誰であるかわからないように、被告を匿名で審理したH地裁の公判で、裁判官自ら被告を名字に「さん」付けで呼んでしまったという。 裁判官だって人間、…

しち・ご・さん

日曜の12日、19日とその前後の数日「七五三」の手伝いで氏神さまの社務所へ出かけた。 小さなお宮のことで、常勤は神職(宮司)一人。 祈祷や行事が重なり、スケジュール一杯になると、来客につい不行き届きな応対になってしまう場合も出てこよう。 そこで、…

帰る姿が懐かしい……青春の並木道。

日没まで間があった。 知人を訪ねての帰り、急に思い立って、すこし回り道をして、昔の職場辺りをのぞいてみたくなった。 その宝物館の駐車場に車を止め、管理事務所の近くを歩いてみる。 高い植木に囲まれ、事務所は五十数年前の佇まいそのままに思えた。 …

ふる里は、今・・・

秋のお彼岸。妻と連れ立って私の生まれ在所へ墓参に出かけた。 車で30分ほど。 村はずれの、曲がりくねった細い坂道を上り詰めた辺りに墓はある。 花と水を供えて父母や先祖の霊を慰め、当家一統の無事を祈った。 実家に寄り、弟夫婦と歓談した。 私の同級生…

娘の気持ち・父の祈り

長女は、ほとんど毎朝晩、通勤途中の車から電話してくる。 「おはよう」とあいさつすると、 「うん・・。マロンは、何してる?」愛犬チワワのご機嫌を聞く。 老いた両親と飼い犬の、どちらを気にしてくれているのやら・・。 長女は、私どもから車で40分ほど…

男、至福のひととき?

連休で、名古屋に居を構える長男が帰省した。久しぶり、正月以来である。 夕食の後、コーヒーを飲みながらの雑談で。 息子が言うには、毎日大抵夜9時ごろ車通勤の帰り道、途中コンビニに立ち寄って100円コーヒーを買い、車の中で一人カップを抱え込む。 ひと…

今日は見知らぬ顔ばかり・・

ふだん、私個人のお金の出し入れは、A銀行B支店のATMで済ませているが、少し尋ねたいことがあったので、一年ぶりくらいだろうか窓口に立った。 順番を待つ間、カウンター内で立ち働く行員さん方のお顔を見渡したが、奥の支店長席で書類を見る男性も、窓…

沈丁花の花の香り……

2平米ばかりの裏庭に、妻が移植した沈丁花が花をつけた。 背丈は50センチほどだが、数本の枝に四五十個も白い花を咲かせ、辺りに甘く上品な香りを漂わせている。 チワワ散歩の行き帰り、鼻を近づけては、やや強い香気にひとり酔っている。 沈丁花の香りが…

『毎日、出来心』……

中日新聞のコラム欄で、女流画家篠田桃江さん(103歳)の「残り人生をスケジュールに合わせて動くなんて、とんでもない」「私は、毎日、出来心」という趣旨の言葉が紹介されているのが、目に留まった。 私は、思わずニヤリとした。何とシンプルで、歳を重ね…

さようなら、ターやん。  その3

報道部員は年中、肩にカメラをぶら下げ行動していた。写真が本職のカメラマンも、時には記事を書いた。地方紙の記者は何でも屋であらねばならない。 あのころ、記者不在の名張支局のカバーは伊賀上野支局が受け持っていたように憶えているが、実状は何とも心…

さようなら、ターやん。  その2

翌日から、報道各社の取材競争が始まった。 当時、伊勢新聞の県警本部記者クラブ詰めはNキャップと私の2人。私は県政記者クラブのカバーもさせられていた。 ベテラン記者のNキャップが、事件の現地へ向かい、私は鑑識課や県の衛生研究所などの取材を受け…

さようなら、ターやん。

ターやんが、亡くなった。 新聞の訃報欄で見て、びっくり。 二度三度、読み返した。 「ターやん」こと田中芳朗さんは元伊勢新聞写真部員(カメラマン)。 年齢は私より一つ上、入社は2年先輩である。 なぜか気が合って「おい、ワンちゃん、行こうや」と私を誘…

さつき満開

境内のさつき。ことしも満開。氏子総代が、きれいに形を整えてくれました。四、五日もすると、梅雨の走りが来そうな雲行きです。

目に若葉〜

三日続きの雨風で、境内林の装いが変わった。サクラやクスなどの病葉がきれいさっぱり落ち果て、みずみずしい若葉に入れかわった。春に三日の晴れなし。毎年この時期は、雨と風の日が多い。まるで世代交代をせかせるかのようによく降り、風も強い。移ろう季…

お幸せに

朝、出仕してほどなく、意気のよい若者が窓口に立った。 にこにこ笑っている。憶えている。去年春、当神社で結婚式を挙げられたTさんだ。 「宮司さん、お久しぶり。今日は結婚一周年記念日で、お礼参りにきました。妻も一緒に来たかったのですが、勤務の都…