ノスタルジー

「ワンちゃん宮司の旅の宮余話」(改題)。「ワンちゃん」は、昔、駆出し記者のころ先輩がつけてくれた。このあだ名、今では遥か青春時代のよすがでしょうか。

すれ違った人…

夕方、日が落ちてからチワワと散歩に出かけた。 自宅の裏を走る都市計画道路の歩道を、12歳の愛犬の歩みに合わせてゆっくり、いつ もの道筋を行く。 西空のあかね雲をぼんやり眺めながら、ふと考えごとをした時、誰かすれ違ったよう な気配で我に返り、つい…

しみるねぇ~懐メロ

歌は、聞くも、歌うも(若いころ)好きである。 歌謡曲、取り分け懐メロ。うれしいねー大好きです。 (昔、先輩の(左系)記者から「低劣な(趣味)‥・」と冷笑されたが――気にしない、気にし ない。) ふだん家でちょっと片づけ何かしていて、ふと気がつくと懐…

妻の悲鳴

「父さん、買い物につき合ってくれる・‥」しゃべりながら台所から廊下を横切って 居間へはいろうとした妻は、2センチほどの段差につまづきばたっと倒れ込んだ――折 よくそこに立っていた私が胸で受け止める格好になって無事に済んだ。妻は朝刊の折り 込み広告…

「父の日」と中国産うなぎ蒲焼

「父の日」の16日朝。スーパー〇〇店の折り込みを眺める妻の後ろから「あんたがこ の間から食べたい食べたいって言ってるうなぎのかば焼きが出ているじゃない」と声を 掛けた。 「父さん、お昼どっかへうなぎ食べに連れてってくれる。それとも〇〇店で間に合…

そして 廃家・‥

自治会の会合が終わって、しばらく雑談になった。 自分の住まいの周りに、ぽつりぽつり空き家が出始めた、と話す人。「うちの隣りも 無人になった」と相づち打つ人。 町のうちは空き家が増えるばかり。一方、町はずれの豊かな農地は次々埋め立てられ て、住…

ホトケの徳さん

顔見知りのA男さんが69歳で亡くなった。新聞の地域版「おくやみ」欄で知った。 A男さんは温厚なお方で、近隣の困っている方々の面倒もよく見られた。 地域の人たちから、A男さんのようなお人が市会議員になってくれたらありがたい のに‥‥と期待されていた…

穴子寿司

気に入った時代小説を夢中で読んでいても、じきに目が疲れるようになった。 ごろり、ソファに寝転ぶ。口がさみしい。 「うまいもん、食いたいなあ」とつぶやく。 「好きなもの食べたらええやないの。どんなもの食べたいの」と妻。 「どんなものって聞かれて…

「――愛しているよ‥‥」

1か月ぶり顔を見せた娘と夕食を囲んだ。 妻が作った野菜の具たっぷりのみそ汁や根菜の煮物を食べた娘は「久しぶり母さん の味、美味しかった。ごちそうさま」普段外食に頼りがちで、野菜の摂取が少ないか ら、たまに家に帰ると母親に野菜料理をねだるのであ…

山のあなたの 空遠く・‥

春風に誘われ、愛犬マロン(チワワ、12歳)と散歩の足を延ばして、町はずれに行っ てみる。 眼下に広がる田んぼのかなたに、ふるさとの山並みがかすんで望まれた。 ――――私の生家のすぐ前から、田んぼを隔て数百メートル辺りに山並みがでん と横たわっている…

「趣味は」って聞かれても・‥

クロマチックハーモニカ奏者 南里沙さんのコンサート(※)に連れってもらった。 クロマチックハーモニカという言葉も聞き初めなら、プロのハーモニカ演奏を聴 くのも初めてである。 クロマチックとは「半音階」の意味。一本のハーモニカで、全てのキーが演奏…

反対は、お一人です

昨年4月から、自治会の会計を務めている。 この3月いっぱいで任期満了、4月第一日曜日に開催予定の総会で決算報告をし、新年 度の会計係に会計書類を引き継ぐ段取りである。 私どもの自治区は、住民の高齢化が進み、空き家も目立つ。 自治会にはいらない世帯…

[さあ、‥‥]とか「ただ、‥‥」だとか、ちょっと何だか‥・

夜、テレビの歌番組を見ていて、ちょっと気になった。 女性の司会者。「さあ、今週の特集は、昭和〇〇年のヒット曲特集です。さあ、さて どんな年だったのでしょう」「さあ、まずはこの歌から‥‥」 “くせ“なのか、しゃべり始める度に「さあ、」が出る。 「さ…

主(ぬし)さまは、どんなお人やら…

ふと気が向いて、人さまのブログをあちらこちらちょっと見して回ることがある。 ジャンルを問わず、タイトルで選んでポッチンする。 思わずつまみたくなるようなおやつや、手間かけずに、老体でも真似できそうな総菜 の写真を見ると、つい立ち止まる。 おい…

きさらぎのおもいで

昼下がり、愛犬チワワ「マロン」と散歩に出かけた。 空に雲なく、何だか「春、遠からじ」を覚える暖かく穏やかな日差しがまばゆかった。 (でも、しばらくは油断は禁物。寒さのどん底は、まだこれからだ。) 節分が過ぎ、2月11日の氏神様の獅子舞神事が終わ…

「終活年賀状」は、書かない‥‥

「終活年賀状」の文例が、ネット上で見られるようである。 二三年前から、私の手元にも何通かの終活年賀状が届くようになった。それに、ことしも既に十二三通の喪中はがきも来ている。 それやこれやも加えて宛名名簿を整理してみたら、私も妻もそれぞれ100枚…

あとひと口、もうひと口

所用で隣市へ40分ほど車を走らせたが、相手の急な都合で2時間近く待たなければならなくなった。 午後1時を過ぎていたので、どこかで腹ごしらえをすることに。 久しぶりに、みそラーメンと餃子でも食するか――と、カーナビで最寄りの中華料理店を検索するが、…

生かされてます‥‥

月半ばから、何かとせからしい――老体には、気疲れを覚える日が続いた。 総合病院で私の抜歯。次いで妻が健康診査で血圧が高すぎる、心臓病が懸念される、と内科からの紹介でハートセンターへ急ぎ回され、心臓エコーやCT検査など丸一日不安な時間を過ごした…

あの人は、今どこに・・・

「お父さん、たまには3人でお昼 外で食べない?」娘が電話して来た。 「いいなあ。――母さんも一緒に行くだろう」と妻に同意を求める。 「じゃあ、迎えに行く」と娘。 娘は、M市の自宅マンションから車で40分余。私と妻を乗せる、ととんぼ返り。M市内のレス…

彼岸のお墓参り

明け方、尿意を我慢してうつらうつらしていたら、いやーな夢を見た。 雨上がりのぬかるみを、昔ながらの荷車が近づいてくる。 見ると、愛犬のチワワが体に荷綱をかけられ、泥まみれになりながら、懸命に荷車を引っ張っている。 「マロン、お前が、なぜ?」と…

まぼろし?の善行‥‥

JR西日本の駅員さんが勤務中、酒に酔って寝ていた女性を救護室に連れ込んで乱暴したとしてクビになったあげく警察に逮捕されたという新聞記事が目に触れた。 昔から「人の世に盗人と痴漢は尽きぬ」とか言われるが、いつの時代にも、良からぬ気を起こすやか…

故郷の廃家

「故郷は遠きにありて思うもの‥‥」(後略) これは室生犀星の「小景異情」という詩の冒頭部分で、内容は寂しい詩なんだそうである。 私のふる里は、市町村合併で今では私の住まいと同じ行政区域内――同じ市内である。 指呼の間と言ってもいいほどの距離で、車…

心の罪・業(ごう)・心の傷‥‥

広島は8月6日、長崎は8月9日、ともに原爆投下(被爆)から73年の「原爆の日」。 原子爆弾が永久に使われないことを、ひたすら祈るばかりである。 澄み切った夏空を眺めていると、私は藤山一郎さんが歌った「長崎の鐘」(古関裕而作曲。昭和24年発売)を思い…

ひんやり‼抱きまくら

前々から「欲しいなぁ」と思っていた抱き枕。 「はい、父さんプレゼント!」思いがけず娘が、それもニトリのNクールまくらを買ってきてくれた。 「これは、これは。おおきにありがとう‥‥」 何だか私の心の内を見透かされていたみたい。やっぱり親子、気脈が…

――お恥ずかしや・・・

妻に探し物を頼まれ、倉庫のあちこちを探し回っていたら、肝心の頼まれ物は見つからず、代わりに私の懐かしいものが出てきた。 大きな段ボール箱に詰め込んだ新聞のスクラップブックが数十冊と4冊の文芸雑誌。 スクラップブックは、私が新聞社に在職中書いた…

にわとりの いのち

夕食のおかずは、鶏肉と野菜の炒め物。 「やっぱりもも肉が一番旨いや」とつぶやいたら、食卓の足元で飼い犬のチワワも、私のズボンのすそを前足でがしがし引っかきながら「ボクも相伴させてよ」(?)と催促する。 妻が「マロン(愛犬の名前)もこのごろぜ…

虫が起こる・・・

二三カ月前から読書虫?が起こっている。 リタイアした今、読書と言っても肩の凝らない時代小説――チャンバラ小説である。 佐伯泰英、葉室麟、稲葉稔、鳥羽亮から昭和三四十年代の山手樹一郎まで、読み出したらやめられない止まらない「カッパえびせん」CM…

妻の粗相

老妻が、自宅階段の下から4段目あたりから落ちた。2度目である。 私が、2階の部屋で探し物をしていると「お父さん、何してるの?」と階下で妻の声。面倒くさいので黙っていると、そっと上がってくる気配。その途端、ドスンと音が響いて「痛いッ」と悲鳴。 …

私と酒

時代小説を読んだ後、夜7時のテレビニュースで花より団子のお花見風景を眺め、続いてBSで時代劇「御家人斬九郎」を見終わったら、酒を飲んでみたくなった。 冷蔵庫を開けるまでもなく、我が家に冷えたビールなどあるはずもない。 料理に使う2合ビンがあっ…

「お父さん、離婚考えたことある?」

いつものように、勤め帰りの長女が、車を運転しながら電話してきた。(ブルートゥースを使って社内ハンズフリー電話) 親子のたわいない話ばかりだが、時には今日みたいに突然ドキッとするような問いかけをされることがある。 「お父さん、お母さんとの離婚…

け・い・ち・つ(啓蟄)

3月6日は、啓蟄(けいちつ)――冬ごもりしていた虫たちが、土の中からはい出してくる。 大きらいなヘビ様も動き出す。 私のお仕えしていた愛称「旅の宮」(離宮さんとか大漁の宮とも)は、古くからヘビ山と呼ばれ、ある年には特に「まむし注意」の立て札を森…